診断名はついていない。
不確定でわからないことだらけで的を得ない話ばかりになることをご了承願いたい。
---------------------
◎首の異変
長い正月休みが明けて、工場のいつもの場所でいつもの機械を動かし仕事を始めていった。それからのことだった。
仕事をしていると、首が勝手に右を向いてしまう。
文字の通り、気づいたら右を向いている。その都度然るべき位置に、正面に首を戻そうとする。それでも勝手に右を向くように首が動く。
何が起こっているかわからなかったし、常に違和感があるし、自分の身体ながら気味が悪い。
…違和感、気味が悪い、それだけで済めば正直言って大した問題には見えないかもしれないね。しかし勿論そうはいかない。
首が動くあまり、今まさに作業をしている対象の物からも視点が外れていく。目の前の、手先が見えなくなっていってしまうほど首は右を向きたがる。その都度戻す、また動く、その繰り返しだった。とても仕事になりやしない。
更に、首の動きによって身体の二次的な不調も起こっていった。首が常に一方向に動くことで顔と首の付け根が片方だけ痛んだ。また、首の動きを抑制すべく首肩ともに常に力が入る。これまでになかなか経験したことのない凝りや痛みが出た。
また、意識されたものではない動きによって、車酔いに近い感覚なのだろうか?それとも首凝り由来なのか?いずれにしても気持ち悪くなってしまいひどいときは吐き気を感じた。
とにかく、シンプルに体調不良である。ここまでひどくならない日があろうとも、当たり前に仕事をこなしているだけで体力気力ともに激しく消耗してしまう毎日だった。
また右を向いている。正面を向きたい…正面ってどこなんだろう…?
普段から正面がどこなのかなんて意識することはない。少なくとも私はそうだった。このことによる弊害は仕事で手を動かす時に限らない。歩く時にも違和感が伴う。真っ直ぐ歩こうにも顔が傾く。角を曲がろうとしたときなんか首がこれでもかと傾く。それに関連してなのか、引き戸を引くことの難しさよ。日常の動作のほぼ全てに違和感があった。
首がおかしくなっても、ひとまず車に乗ってしまえば症状は落ち着いた。片道50分弱の癒しタイムである。しかし、調子の悪いときは運転時ですら違和感を覚えた。前が見えない!などという実害的なものではなく、自分が正面を向けているのかわからなくなるのだ。そして、どちらかといえば「この先本当に真正面を向くことができなくなったら…?」という不安が大きかった。
症状には波があった。特に、運転時にまで違和感があった日というのはごく少ないし今はそういうことはなく過ごせている。首や肩の凝りを感じずに過ごせる日も、ひどく痛めてしまう日もある。少なくとも共通して言えることは
・しっかり寝ると治る
・寝ると治るので、朝は調子が良い。日が進むにつれて悪くなる。
・寒いと首肩の凝りに拍車がかかる(職場が極端に寒い日がある。室温が10℃を切っている中で作業することもしばしば)
・じっと座ったり、寝たり、安静にしていれば首は勝手に動かない→一定の動作、同じ動作の繰り返しがトリガーになることが多い
・家の中だと安静にしていることが多いからか違和感や症状は少ない
といった具合だ。ちなみに趣味の原稿作業もほぼ問題なくできている(問題があるほど集中してやれていないだけかもしれない)
◎GO GO病院
不調については上記の通りだが意外と難儀するものだ。動けないわけじゃないんだからマシ、と考えようにも実際はけっこうしんどいものだ。ということでいくつか病院にも行ってみた。まず年明けに症状が出てすぐに整形外科と眼科に行った。
整形外科でレントゲンを撮ってもらうも異常は無し。ここで「利き目」についての話をされる。
次に眼科で診てもらうもこちらでも異常は無し。そして何故かコンタクトの度数を緩めることに。なんでも、「見えすぎている」のだそう。この先目が悪くなることしかないと思っていたのでこれには驚いた。
核心に辿り着かない。そりゃそうだ。自分が本当にかかるべきなのは…わかってはいたんだけどなかなか勇気が出なかったのだ。
2月になった。決定的な出来事があった。
今まで当たり前にこなしていた仕事ができなかったのだ。やる気は充分だった。体力もあった。腕と手首〜手先?言葉にするのが難しいけど力のいる仕事だった。決して力任せではない、ひ弱(←)な私でもできるんだからな。しかし、これが不思議と首が正面を向けないだけでちっともできないのだ。
これまではものが見づらいとか時間がかかるとか…そんなことを誤魔化し誤魔化しやってきたけど、いよいよ駄目だと思った。そもそも誤魔化している時点でなんだけど、できたはずのことができないのが悔しいし情けない。
覚悟が決まった。
脳神経内科に予約を入れた。
◎GO GO脳神経内科
自覚している症状を検索すればそれっぽい病名は出てくる。今現在それに苦しんでいる方々には申し訳ないけど、率直に、怖いと感じた。原因や病名がわかればスッキリはするけど、どうか自分がその病気ではないことを必死に願った。
脳神経内科にかかる前日は症状がひどく、車の運転にも不安を覚えるほどだった(勿論何事もなく帰宅した)。それが不思議と受診当日になると症状はピタリと治まった。…理由はわからないけど、自分でもそんな予感はしていた。私というのはうまくいかない人間なのだ。
しかし脳神経内科の先生は親切で、初診でとったデータをベースにしていくから今回の受診も決して無駄ではない旨を伝えてくれた。ありがたかった。
そしていわゆる「脳神経検査」をした。YouTubeのASMRロールプレイでよくあるやつだ!と内心感動してしまった。
結果は…異常無し。
先生は難しい…と言っていた。ここで症状が出ているときの写真や動画の有無を尋ねられた。その発想に至らず、私は何の準備もしていなかった。やっぱり、症状が出ていない以上は診察が難しいとのこと。役に立てなくて申し訳ない旨を伝えられた。申し訳ないのはこちらの方だ…。でも、また困ったときにかかることができる。ありがたい収穫だった。
◎きっと私はこうなんだ
症状が出始めて何ヶ月も経つ。結局のところ何もせずに放置する日々だった。
相変わらず症状には波があったが、2月の半ばに脳神経内科を受信して以来、多かれ少なかれ毎日違和感を感じるようになった。仕事や生活に支障が出るかといえばマチマチだが、首は傾くし歩きづらかった。
それでも確実に言えることは、症状の出始めた年明けや2月前半と比べたらトータルで大分マシだということ。首の動きはある程度制御ができるようになったので対象物から視点が外れることはないし、吐き気を催すなど具合が悪くなることも激減した。いい加減、このおかしな状態に慣れてしまったのだろうか?だったとしてもこの時自分は「ゆるやかにでも症状は改善している」と思った。いや、思い込んだ。
人生は長いんだ、だからもしかしたら緩やかに、治っていくのかもしれない。そして、後から笑い話にでもすれば良いんだ…
だから急に治らなくても仕方ない、ゆっくりやればいい(許される限り…何せ100%のパフォーマンスで仕事ができていないままズルズル過ごしているため)
治ることが1番だけど、私個人としては「克服」することを望んでいた。へんな身体でも、うまく付き合っていけたら良いのかな…などと。
考える時間がとにかく沢山あったし、自分の気持ちの持って行き方次第だと思っていた。しかし、それもそう上手くはいかない。
しかし3月も半ばになった頃、またもひどく具合が悪くなってしまった。首の動きは止まらないし。吐き気がする。歩くこともつらい…。1日いっぱい同じ機械を動かしてずっと同じ作業をしたせいだろうか。
やっぱりダメだ。同時に、限界だと思った。自分はこの身体でやっていくのかと漠然と考えてみていたものの、やっぱりおかしいんだ。そもそも普通だったら首は勝手に動いたりしないんだ。
おまけに関係あるのかはわからないけどこの時2週間ほど「毎日」37℃を越す(37.5℃は下回る)熱を出していた。これは日によるがしっかりと寒気と怠さもあった。1日休んだところで治る保証がないという理由で身体を押してフルタイムで出勤をした。無理をすることが自分の標準になっていた。あくまで、私が望んでやっていたことだ。
勇気を出して、後輩に仕事中の動画の撮影をお願いした。自分の首がガタガタ動いてるところをマジマジと見られるのなんて嫌だったし、繁忙期である今、頼むタイミングも難しかった。
後輩は余計なことは何も言わずに、1分を越す動画を撮ってくれていた。
現在服用している薬である。あの後すぐに脳神経内科の先生に動画を見せた。診断名こそ出なかったけど、すぐに薬が処方された。自分にはおかしな症状が出ているんだと確信に変わった。
薬を飲み始めて数日、効いてくれているんじゃないかと思う。薬を飲んで初めて出勤した日は首のことを忘れて1日を過ごすことができた。こんなことは久しぶりで本当に嬉しかった。
今のところは違和感が0じゃない日があれど、全体を通して楽になっているのを感じている。
というのも束の間、例の機械作業をすれば首がガタガタ動く…何のための薬か?飲まなければもっとひどいことになっている可能性を考えたら無駄ではないのかもしれないけど、今のところ何とも言えない。正直ガッカリしている。
そしてネックは副作用だ。これは最初から先生からも薬剤師からも言われていた、「眠気」だ。
私に至っては元々常に眠たい人間だし、季節は春めいているし、因果のほどはわからないけど、現状、なかなかつらいものがある。むしろ眠気の方が日に日に強くなっている気がする。
いずれにしても飲み始めてまだ数日なのだからまだまだ様子を見るしかない。次の通院のときにしっかり伝えるためにこれらは逐一記録している。じっくりと長い戦いになりそうである…。
◎思い当たる節
いくらでもある。うんざりするくらいある。
直接のきっかけになったと思えるのは、普段仕事で使っている機械(冒頭でも触れたもの)の調子がおかしいまま無理をして使い続けたこと。→こちらの身体に大きな負担がかかり、毎日のことなので積もり積もっていった。
他には…
・過密すぎるスケジュール(in製造現場)
・常に欠員状態
・周りのスタッフが全員歳下で精神的に甘えられる人間がいない→具体的に言うと、「具合が悪い」の一言すら言いづらい。元気なフリをして仕事をせざるを得ない。何なら私が後輩に指示を出さねば始まらない。ぐったりしている場合じゃない。
・上記のような状態なのでなかなか休めない(こっちの気持ち次第なんだろうが)
などなど職場で抱えている問題はこんな感じ…。今に始まったことではないことも多々あるので何とも言えないが。
少なくとも、身にしみて感じていることは
人間いつ身体がおかしくなるかなんてわからないということだ。
病気も不調も色々ある。周りでそうなってる人はこれまで沢山見てきた。去年の夏に父親は膵臓癌で死んだ。
その度に、いつも他人事に感じていた。自分は健康だけが取り柄だとすら思っていた。
1日仕事をするだけで必死でズタボロな今は見る影もないが…。
人生ってわからないもんですね(こなみかん)
気が向いたら続く…(正直言って続きたくない)