『少女都市からの呼び声』を観た

 

※否定的な感想です。それでも良い方だけ読んでください。

※こんなのでもネタバレを含むかもしれないし、観劇予定のある方は絶対に読まないで!(自分の感想を持ってほしい)

 

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わけがわからなかったけど、音楽や映像?は異空間として美しく、不思議と居心地の良い世界だったと思う。

 

それは、これらの無数のわからない要素たちがどのように帰結していくのか。

物語の帰結を望むことを諦めなかったから……

 

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わからない人たちがわからないことを言いながらそれらが何なのか決定的に表現されることはなく、「わからないまま終わった」

 

この作品の難解さについては、既に観劇された方々の反応を軽く見ていて覚悟はしていたけども…。

被害者っぽく嫌な言い方をしてしまうと、笑うことも悲しむことも、昨年の佐竹兄妹を観たときのように怒ることすらも、許されないのかと虚しくなった。

 

私情極まりないが、遠征している身としては複数回観劇して理解を深めていくことなどできないから勘弁してほしい。しかし、複数回見たとて、自力だけでは理解できないんだろうなあ。

 

かと言って「みんなに分かりやすく」ばかり意識された表現はつまらないものになる。

分かりやすさを捨て去った表現だからこそあのガラスの世界や猛吹雪は美しかったと思う…。

 

 

それにしても、今私の心の中には何も残っていない。

大きく2つ、残念に思ったポイントがある。

 

 

①登場人物の思想が見えなかったこと。

 

そこがわからないのだから感情移入の仕様がなかった。ただ何となく世界観を楽しむので精一杯。

そもそもあらすじに書かれていない登場人物たちが何なのかがわからない。

断片的に表現されていったシーン、唐突に出てきた人たち、これがどう交わっていくのか希望を捨てずにワクワクした。でも、私には分からなかった。

 

オテナの塔のくだり、そもそもオペラなのかオケラなのか聞き取れなかったし、パンフを見てオマージュ元があることを初めて知ったけどそれは反則じゃないかな…?終盤のオテナの塔のアップは気持ち悪くてとても良かった。

 

あの日本兵達?は結局何?フランケンが元々いた世界なのか?あるいはフランケンが見た夢ともとれてしまったのでうーん何とも。

 

とりわけひどいなと思ってしまったのは「なんてジメジメした陽気だろう」の2人組のじいさん。かなり笑わせてはもらったけども!

唐突にジメジメ陽気シーンが挟まり、オテナの塔に言及したくらいで本筋との絡みがなかったように思う…あんまりすぎるので私の記憶違いであってほしいと思うくらい。

よく知ったキャストさん方。ダチョウ倶楽部のギャグや劇場の椅子が固いことに触れたのには大笑いしたな。ダチョウさんに関しては未だに上島さんを思い出して切ない。

これを本筋と絡まない人物たちがやる意図は???????それがわからない以上、いくらギャグが面白くとも物語の「邪魔」としか思えない。本当にわからない…その時間があるなら諸々を説明しろとは言わないけど、ガラスの世界をもっともっと見せてほしかった。

まさか、ガラスの世界の狂気を浴びた観客たちのための箸休め…?そんなわけない。あり得ない。ググります。(ググって出てくるかな?)

 

何ならメインキャラ達も何がしたいのかいまいちわからなかったもんなあ……田口が雪子をガラスの世界から連れ出したいことと、フランケンが雪子を我が物にしたいことは辛うじて。雪子は狂いすぎてるのと世間離れの域を超えててよくわからない。というかフランケンと雪子はどうして出逢ったわけ?

 

そして頼みの綱の、現実世界の登場人物たち…有沢やびんこが話を纏めてくれるかと期待した私が馬鹿だった。特に有沢の歯切れの悪さはストレスだった。せめて「なんだこれは!わからない」と観客の気持ちの代弁くらいできなかったものか。

こうして考えると観客側の登場人物なんていないんだよなあ。だからひたすら置いていかれる。あ、もしかしてそれがジメジメ陽気じいさん達?だったとしてその役割は果たせていない。

 

 

②オチ及び終盤がほぼ全て分からなかったこと

 

物語が帰結される表現を「期待してしまった」ところだ。帰結はしたのだ、しかし重要なところが全然理解できなかった。雪子と田口は最終的にどうなったの???識者の力を借りたい。後でググろう ←

最後さえ分かれば、後から遡って途中途中の表現の意味や意図を考えられる。それを楽しみにしていたけど、私が甘かったんだね。

田口は近しい人も友達もいないと言われていたね。(有沢は歯切れ悪すぎて謎。)だから誰1人田口達の代弁者がいない。

 

現実世界よりガラス(夢?)の世界の方がわかりやすかったってどういうこと!?

 

幕が閉じた後、後ろのお客さんが大量に落ちてきたビー玉を「パチンコのフィーバー」と例えていたのは秀逸すぎて笑った(聞かさったんですごめんなさい…笑)

 

 

これを読んだ人がいるなら私の理解力の無さを笑ってください。理解しようとしなければそこで終わってしまう。でもこれは既にある考察なり他者の力を借りざるを得ない。

ただ、世界観を堪能した。それだけ。

 

細かいことを言うなら女性の表現が全体的に下品に思えて、若干だけど気分の良いものに感じなかった。別に女性を蔑んだって良い、しかしどうせやるならもっとハッキリとやってほしいと思ってしまう。

フランケンの食事シーン(これ自体も何なのか分からんが)、取り巻きの女達の衣装は生理用ナプキンかい?「月に一度のお祭り」と連呼していたし。

生理は別に良い。生理だったとしてとにかく、取り巻きの女達が馬鹿っぽすぎて。音楽やダンスなど表現はもちろんすごいし魅入ったけども、演出にほんの少しの悪意や違和感を感じた。

 

それと指の切断シーン…個人的に楽しみにしていたところ。もっともっと痛々しくしてほしかった。双眼鏡を使って見たけども、これ肉眼だったら本当にあっさり。

指の切断って地味に思われてる?信じられないくらい痛いんだよ。過去に左手の薬指の先をほんの5ミリ削ってしまったことがあるけど、この世のものと思えない痛さだったことを今でも覚えてる。

演技がどうこうではない。安田さんの痛がる声を聞けたのは至福極まりなかったけど…正直こんなもんか〜という感じ。

今にして思えばこのあっさりさが終盤への伏線だった?あれだけやっといて田口の指は全て残っていたんだよね。あっさりとしていた。その肝心の終盤が意味わからなくて悲しいけれど。

 

大声や大きい音を出しておけば物語を進めたり纏めたりできると思ってる?キャストさん方の迫真の演技も萎える。

 

演者さんや音楽が素晴らしかったのは言うまでもない。背景やモチーフについては…今の汲み取れないものも多く何とも言えない。あんまり意味だ意図だと追求ばかりするのも無粋なんだろうか。

咲妃みゆさんの存在感、美しさ、まさにガラスのような儚さ…すごく素敵だった。

桑原裕子さん…大好き笑笑 忘れ歌と閃光ばなしに続いてお姿を拝見できて嬉しい。

みいつけた!が好きなので、三宅マンも生で観られて嬉しかった。作品の話と外れるけど、ツイートを拝見して、奥様を亡くされたとのことで。他人事とは思えないところがあったのもあり。

安田さんの演技、改めて振り返ると重々しくてすごく良かった。あの低い笑い声…素敵だなあ。何せ田口という人物が掴めないんだけど、「重かった」印象。

 

カーテンコールの安田さん、笑ってなかったなあ。

 

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この記事内だけで、私はいくつ「分からない」と書いただろう。

 

芸術作品を堪能する際には心身のコンディションを整えて、余裕やゆとりを持って。改めてそう認識させられました。

 

難しいよ、今の私には。

 

せっかく観たのだから、観ることができたのだから、いつになろうとも今後の糧にできれば儲けものだ。