観ました。
※記憶力がゴミなので感想としては稚拙極まりない上にもはやただの自語りと化していますがネタバレがないわけじゃないのでこれから観劇予定のある方は読まないでください。
※先に言いますが、自分の肌に合わなかったのでネガティブな話も沢山します。良い悪いで語れるものではないことは前提の上で、発散させてください………
※強烈な心のしこりと苛立ちを発散させてください…………
一言で表すなら、「コント『閃光ばなし』」
後半につれて「ファンタジーコント『閃光ばなし』」
瞬きする暇もないくらいの怒涛のカオスだった。まず初見じゃ把握しきれないくらいの登場人物の多さ。そして全員が殺気立っていていっぺんに喋るし何かったらすぐ殴る蹴る。
そもそも始まり方もかなり乱暴だった。大音量のバイク音が鳴り、なんだなんだ!?と思っているうちに幕が上がって面白かった。
もちろん目が足りない笑 やはり安田さんを目で追ってしまうので全体を見られなかったけど、1人1人がすごく面白い動きをしていたんだろうなあ………人物の動き自体はコミカルで本当に面白かった。
しかし、ギャグ?客席から笑い声が聞こえるシーンが多々あって。ああ、これは笑うところなのかと認識したのだけど。
どうしても私は笑えなかった。
笑ったところがないわけじゃなかったけど、政子が野田中のじいさんを(ボートから落として)「殺しちゃえば?」と言ったところは素直に笑えた。でも、そこだけだな。
面白くないわけじゃない、話に釘付けになった。しかし笑えない。私が人と笑うポイントが違うのか?と考えてしまうとそれまでなんだけど、多分そうじゃない。
昭和特有の大変な時代背景で誰もが必死だ。登場人物たちの主張にうなずけることも多く、立場ごとの苦しみも想像できたし伝わった。私にはどれも己を貫いた真剣な行動や言動として観ていたから、ギャグ?が茶々を入れてきているように感じて余計だと感じてしまった。言い換えればユーモアか。苦しい時こそユーモアがなければやってられないかもしれない。じゃあ、少なくとも今の私にはユーモアを楽しむ余裕がなかっただけかな。多分私だけじゃないそんな人たちは。
佐竹兄妹。
共感できない。感情移入できない。
政子に至ってはかなり嫌いなタイプのキャラクターだ。
そんな政子を大事にする是政も分からない。個人的な話として私がひとりっ子だから兄弟の絆に疎い方とか、そんなことを抜きにしても。
劇中のとにかく第一に政子!他の何を置いても政子政子政子!という異常ムーブをかます是政は滑稽で面白かったし惹きつけられた笑
色々言ってるけど、勿論「佐竹是政」と「佐竹政子」というキャラクターについての感想ですよ!?というかこれだけ言っておいて本当に目が離せないくらい魅力的ではあったのだから!!!
政子みたいな傍観者、しかも上から人々を見下ろしてそれっぽい皮肉を言うだけの人物が嫌いだし苦手だ。現実にもいるじゃんそういう人。でも何もしてないわけじゃない、窮地に立たされれば政子自身が武器を取って戦うし政子から行動を起こすシーンもとにかく多かった。何より主人公是政の原動力という役割…。そう考えたら色々やってるし政子という芯の通ったキャラクター。
でもどこかで「口だけじゃんこいつ」と思ってしまうのは、長いものに巻かれていくどん詰まりの民衆と一緒に働かないシーンが印象に残ってしまったのかもしれない。
私は佐竹兄妹じゃなくて、どん詰まりの流されていく民衆や板挟みでも強かな底根八起子に共感した。
どん詰まりの民衆のことを流されていくと書いたし、劇中でも権力者の言いなりで〜みたいな描かれ方をしているけど、それの何が悪い?
佐竹兄妹は最後まで抗った。しかし抗うことに共感できなかった以上、私はこの物語に共感できない。
終始不穏な展開に、どうなっていくのか…?本音を言うと、私が納得できる終わり方をしてくれるのか…?と常に続きを求めて釘付けになった。暗転するたびに「これで終わりだったらどうしよう」と不安になった。(とにかくギャグが肌に合わなかったのが大きくて全体的に不安でソワソワした感じ)
終盤の裁判から佐竹兄妹がバイクで逃亡するシーン。逃亡…正直好みではないけど、あの話の中ではそうするほかない。この物語を通して逃亡の展開にも肯定的になれるかもしれない!!!とか思っていた矢先、電柱守りの人が言った。
佐竹兄妹は高台の崖から飛び降りて
死ぬつもりなのかもしれない。
は???????????
腹の底から怒りが湧いた。
正解とか間違いとかじゃないんだ。死んでおしまいは、大 嫌 いなんだ。
長いものに巻かれるくらいなら、負けるくらいなら、死ぬと?それが綺麗でかっこいいとでも?
へ〜そうなんだ…と思った瞬間佐竹兄妹の存在が陳腐に感じられてしまってだめだった。
宙に浮いたバイク。
今更だが、私のいた席、1階の双眼鏡無しで人物の表情がハッキリ見えるくらいの距離のどっっっ真ん中。
更に近くで見えた是政と政子。
安田さんがあまりにもかっこよすぎて、尊すぎて
腹が立って睨みつけてしまった。違う、安田さんを睨みたいんじゃない…辛い…なんかキラキラしてカッコつけてんじゃねーよ!!と腹が立って。
まあ、結末を見るに政子はひょっこり現れるし兄妹は死んでないらしいんだけど、バイクを壊しただけ?それとも本当に飛び降りたけど奇跡的に助かったとか?
う〜んもやが残る。正直言って私の理解力が及ばず「よくわからないEND」である。私の都合で悪く言うなら「投げっぱなしEND」である。だって、分からないし、分かるだけの共感も感情移入もできなかったんだもの。
それに、どん詰まりの人々はほとんど夜逃げした。多分彼らは自分なりの幸せを見つけていける強い人たちだ。だから正直佐竹兄妹が勝とうが負けようがどうでも良くなっているというのが本音。自分たちのために、自分のために戦っている。筋が通っていることに違いはないけど、興味が持てない。
頭のどこかに『忘れてもらえないの歌』がよぎった。そりゃ昭和三部作とされているくらいだし…
ネット上のどこにも感想を記すことなくこのまま来てしまったのだけど、私は『忘れ歌』に大きなトラウマを持っている。(※こないだ手帳を整理したら感想の殴り書きを見つけたので気が向いたら記事にします…したい)
だから話が上手く運ぶはずかない、どこかでしっぺ返しをくらう、主人公たちはどん底に落とされる、無意識にそんなことを予想立てて話を観てしまうのだ。
極端な表現をすると「ご想像にお任せしますEND」の今作、正直言って消化不良。無意識に忘れ歌のような圧倒的な悲しみや絶望を求めていたのかもしれないし、本当ならそれを覆すような爽快なGOOD ENDを期待した。まさかのそのどちらでもない。ある意味それってリアルだ。舞台でくらい良い夢でも悪夢でも見せてほしかった。
亘も強烈なキャラクターだった。厳しい時代を生き抜き、手段を選ばない点がとても分かりやすかったかもと改めて思う。
是政には大事な大事な政子がいる、だから亘ほどの目的のための豪快さはなかった。また、尊厳を捨てる行動もなかった。別作品のキャラクターにしても、どうしても比べてしまって分かりやすさの点で中途半端さを感じてしまった。是政は複雑でしがらみもあって理解も共感もできない。むしろ人間って本来そういうものか。
つらつらと文章にしていたら怒りが収まり心が落ち着いてきた。肌に合わないと言って忘れることはしたくなかったから、何故肌に合わないのか記憶の許す限り時間をかけて考えていきたい。
そもそも忘れさせてくれない。是政がそう言ったから。
野田中の圧倒的な権力で民衆を飲み込もうとも、嫌でも俺たちのことを思い出させるようにしてやる!と叫んだシーン。客席に指をさして、目玉をひん剥いて…
繰り返すが私の席はどセンター。ちょうど是政に指をさされる(ように見える)だ。是政の、安田さんの目を見ていたらこのシーンだから、身体は硬直しヘビに睨まれた蛙状態。かっこよさが爆発とか通り越して、怖くなっても、単純に目が合う(と感じる)恥ずかしさから目を背けたくなってももう目が離せない。
是政に指をさされた瞬間私は野田中になった。いや、でも野田中ほどの力も野望も持ったことないし経験がないよ……
だから「俺たちを忘れるな」というメッセージが残る。強い衝撃、感情として例えられないある種のトラウマとして……
大事なシーンなのに安田さんカッコいいと思ってしまうのが愚かしい。事実だけど。
安田さんは身体が小さい。背中は大きいんだけど、他のキャスト陣と並ぶと、小さい。何故か女性の方が大きい。
身体が小さくなかったらそれは安田さんではない。今回は特にそんな安田さんが大きく大きく大きく暴れている姿が見られて本当に幸せだった。
カーテンコールでスタンディングオベーションが起きた。安田さん、キャストの皆さんも素敵だったから顔が見たいと無意識に身体は立とうとしたはずなんだけど、立てなかった。理由は上に散々描いた通りのことで頭が怒りでいっぱいだったから。膝の上の荷物が何万トンもの重みに感じて、立てなかった。
でも少なくとも、立てば良かった、失礼なことをした、と後悔するくらいなら本当に愚かなことをしてしまったと思う。
最寄りの宿への帰り道、奇しくも「男女の2ケツのバイク」と親の前ではしゃいで「踊る女の子」を見かけた。正直言って腹立たしかった。確かに、一生思い出すと思う、あの兄妹を。
私情により私は多ステができない。だから1回の観劇が本当に大事だ。
複数回観劇すれば、こんな否定的な感想ばかりでなく理解が広がり考える余地も増えるのだろう。だからこそ、この1回を、今日抱いた怒りをずっと忘れないしこの1回を考えていきたい。
「元気のない人こそ観てほしい」って宣伝していなかったっけ?
確かにある意味元気が出たよ。怒りもひとつのエネルギーだから……この後東京とはかけ離れた田舎に帰って、怒りながら仕事を頑張っていけそうです笑